石屋のないしょ話 vol.103

皆さんは京都で一番の魔界スポットと言われている「深泥池みどろがいけ」をご存知でしょうか?今月は、「深泥池」についてお話しします。
洛北の上賀茂付近で、地下鉄の北山駅から十分ほど歩くと、鞍馬街道に向かって湿地帯が広がります。 その中心が深泥池で、周囲は約一・五キロ、面積は約九ヘクタールで、真ん中に浮島が浮かんでいます。 池というより、水草や様々な水生植物が所せましと生い茂り、昼間でも鬱蒼とした底なし沼といった雰囲気が漂っています。 周囲は緑深い小高い丘に囲まれ、一人で池の周囲を歩くには、どこか不気味で心もとない雰囲気です。 
古来、この池の北方にある貴船の奥に棲む鬼がこの池を出入り口にしていたと伝えられ、あやかしもの達が行き交う異界でした。 たしかに、御伽草子にも貴船の奥には鬼が棲むという伝承があり、地下水脈がこの池と貴船の間でつながっているとも考えられ、伝承が生まれるのも頷けます。 有名な怪談として、この池の近くでタクシーが女性客を乗せると、いつの間にか姿が消えている女の幽霊が出るという話があります。 ここは、タクシー怪談発祥の地でもあるのです。 また、自殺した水死体が浮かぶ例や、池沿いの道のカーブを曲がりきれない自動車の衝突事故や池に突っ込む事故も起きています。 もちろん、この池のせいで事故が起こるわけではないのでしょうが、心霊現象に見舞われたのが原因ではないかという噂があるのも事実です。 
このように、日本有数の心霊スポットになってはいますが、実はこの池の水生植物が国の天然記念物に指定されているほど、貴重な池なのです。 氷期からの生き残りとされる生物や、エビ・カメ・クモ・トンボ・カモなどの様々な種類の生物が共存し、日本で初めてミズクモが発見されたこともあり、学術的にも極めて重要な池に指定されているのです。 
石屋のないしょ話でした・・・。