石屋のないしょ話 vol.134

京都は名水の都です。 昔から伏流水が湧き出る泉が多く、「京都七名水」「京都名水百選」などが選ばれています。 これらの名水がもたらした京都の地場産業が、酒造り、茶、染色業で、現在の京都の重要な産業になっています。今月は京都の名水についてお話します。 
まず、京都の酒造りと言えば伏見で、神戸の灘と並ぶ名酒の産地です。 伏見にも「七名水」がありますが、とくに有名なのが「御香宮神社」の境内に湧き出る「御香水」という霊水です。 伏見の酒造りに欠かせない超軟水で、灘の辛口(男酒)に対し、伏見の甘口(女酒)と言われています。 この神社は、平安時代に御香水が湧き出たことから創建されたと伝えられていますので、歴史が古い湧き水で現在も枯れることなく湧き出ています。 伏見の他に、右京区にある松尾大社の亀の井の水も、酒造りに最適な名水とされています。 秋の酒造祈願祭には、全国各地から集まった酒造業者が、この亀の井の名水を持ち帰るそうです。 お酒もさることながら、京の名水がもたらしたのが、茶道とお茶産業です。 宇治茶は京都の代表的産業ですが、宇治の水の清らかさも有名で、名水が湧き出る泉が多く、「宇治七名水」が選ばれています。 とくに宇治上神社の桐原水井戸から湧き出る名水には定評があります。 室町時代に茶道を発展させた能阿弥は、お茶の七名水として、御手洗井、常盤井、醒ヶ井、水薬師の井、大通寺の井、中川井、芹根井を選んだと言われています。 茶産業の他に、名水を使った京都の産業には、漬物作り、豆腐作りも有名です。 梨木神社の染井の名水を使って、千枚漬けやかぶ漬けなどの漬物がさかんに作られ、上賀茂神社では境内に湧き出る名水で、社家の人たちがすぐきを作って特産物としました。 西洞院川沿いには、染色業や製紙業が江戸時代から栄えました。 吉岡憲法が開発した「憲法染め」や、宮崎禅斎が創始した「友禅染」は、水がきれいな川がある京都ならではの名産です。 現在でも「名水百選」が選定されることからもわかるように、京の名水は清浄を保ち続けているのです。
石屋のないしょ話でした・・・。