石屋のないしょ話 vol.145

早いものでもう9月です。 今月は、「いってらっしゃい」と手を振る振る訳についてお話しします。
仕事に出かける父親に向かって、子供と母親が「いってらっしゃい」と手を振る光景はよく見かけますが、この手を振る動作には「今日も無事に帰ってかられますように」「仕事でいいことがありますように」などと、相手の無事や幸運を祈る意味が込められています。 「振る」という動作は、昔から神に祈願する時に用いられてきました。 たとえば、奈良時代の絵には、薄い布を肩から両腕にかけて巻きつけた女性の姿を描いたものがあります。 その布は「頒布ひれ」と呼ばれる、神に奉仕するときに用いる道具です。 昔の人は、空気を振ることで、神霊をふるい立たせることができると考えていました。 そこで、頒布を振ることで神を招き寄せ、またその力を増幅させようとしたのです。 頒布以外にも、鈴を振ったり、拍手を打つなど、空気を振動させて、神の霊験にあやかろうとする行為は数多くあります。 出かける人に向かって手を振るのも、その延長線上の行為といえるでしょう。 出張や旅行など、しばらく帰ってこない人に対しては、手を振る動作も自然と大きくなるものです。 これも「いつも以上に、神のご加護がありますように」という気持ちが、無意識に働いているからかもしれません。
石屋のないしょ話でした・・・。