石屋のないしょ話 vol.146

日中は暑いぐらいですが、朝晩は冷え込む季節になってきました。 皆さん風邪などひかないように気をつけて下さい。 今月は、印鑑を押すのに朱肉を使う深い理由についてお話しします。
色にはそれぞれの働きがあり、人間の身体や心に影響を及ぼすといわれています。 それを研究するのが「色彩心理学」と呼ばれる学問分野です。 その研究によると、青には気持ちを抑制し、冷静にさせる作用があり、緑には安らぎを与え、心をリラックス状態に招く働きがあるそうです。 一方、赤には興奮作用があります。 赤はファイトが湧いてくる色なのです。 ところで、書類に印鑑を押すときには、決まって赤が使われています。 正式な書類に、青や緑の印肉を使ってハンコを押す人はいません。 それは何故でしょうか? 日本では古くから、赤い色は太陽や燃える炎に通じるところから、おめでたい色と考えられてきました。 そこから、魔除けとしても赤が使われ始め、神社の鳥居やお札、ダルマも赤く塗られるようになりました。 印鑑に用いられる赤もこれと同じで、おめでたい色であり、魔除けの意味があるから使われ始めたわけです。 
色彩心理学に照らし合わせて考えても、印鑑に赤を用いるのは理にかなった選択といえます。 とりわけ、実印を押すのは家を買うとか、会社を立ち上げるなど、人生の大きな選択をした瞬間です。 そんなときに、青い朱肉で印鑑を押して「いや待てよ」と妙に冷静になっても、緑の朱肉で「まあ、ゆっくりお茶でも飲んで考えよう」とリラックスしても勢いがつきません。 人間、何かことを起こすときには、勢いとパワーが必要です。 というわけで、印鑑を押すという行為には、やはり赤が合うのです。 色彩心理学などなかった昔でも、人々は赤い色の持つパワーを無意識のうちに感じ取っていたのでしょう。
石屋のないしょ話でした・・・。