石屋のないしょ話 vol.16

日中は例年に比べて暖かいですが、朝夕は冷えこんで冬将軍の到来といった今日この頃です。 皆さん風邪には十分気を付けて下さい。 さて今月は、冬の晴れた朝に見られる「霜柱」についてお話します。
霜柱とは土の表面にできた氷の柱です。 しかしどうして水もない土の表面に氷が成長するのでしょうか? それは「冬の晴れた朝」という条件です。晴れているために地表の物体と上空の冷たい大気との間に光を遮るものがありませんから、地表の物体からこの冷たい大気あるいはその向こうの宇宙に向かって赤外線が放射され熱が奪われます。 これを放射冷却といいます。 熱が奪われるのは、石でも土でも落ち葉でも、みんな同じく大気に触れる表面です。 こうして気温に先立って地表の温度が下がります。 寒気が強い場合にはこれらの表面は0℃以下になり、大気中の水分が表面に凍りついて霜になるのです。
土の表面では、霜ではなく霜柱ができます。 しかしなぜ土にだけ霜柱ができるのでしょうか? 霜柱を手にとって観察すると、一番上の部分が必ず薄い土帽子を乗せていることに気が付きますが、この薄い土がポイントです。 この土が宇宙へ向かう赤外線の発信基地なのです。この部分が0℃以下になると、土は水を少し含んでいるので熱を放出することにより水が凍ります。 1cで80iという大きな熱が放出され、この氷に向かって液体の水がその下の土から流れ込みます。 そして放射冷却が進むにつれて次々と氷が成長し、霜柱となるのです。
土の中を液体の水が流れるのを毛管現象と言います。 毛管現象とは、水の表面張力により土の小さい隙間の中に水が保持されることです。 関東地方の霜柱が特に有名なのは、ときに10aにもなる大きな霜柱ができるからです。 これは土が火山灰起源であるため、毛管が発達していて水をよく運べるからです。 しかし、現在でも霜柱ができる現象は、完全に解明されていません。 土の下層から表面の氷に向かって非常に速く水が移動するメカニズムが解ってないからです。 この流れの速さは常温時より数段速いといわれています。 もちろん駆動力は大きな温度差によるのですが、それによって生じるポテンシャル差の大きさや、その時の土の浸透性など、まだ十分に解っていません。 このように、自然界には解明されていない秘密がたくさん残されているのです。
石屋のないしょ話でした・・・。