石屋のないしょ話 vol.163

「あ、あの赤ちゃん笑ろたはる」
他所の地方の人には、この「〜したはる」「〜してはる」という京都独特の言葉遣いが大変不思議な感じに聞こえるようです。 今月は、この京都独特の敬語についてお話しします。

京都では、「赤ちゃん笑ろたはる」「泣いたはる」という具合に、赤ちゃんという、云わば自分より目下の者にも敬語を使います。 京都で赤ちゃんに敬語を使うのにも、ちゃんと理由があるのです。 赤ちゃんというのは、そのお家にとって大事な大事な宝物です。 その大切な相手の宝物に対して敬意を表するのは当たり前で、「笑っている」というのはやはり失礼な言い方に思えます。 時には、犬や猫にまでこの「〜しはる」を使うことがるぐらいです。 

京都では、小さい頃から相手のことを考えて敬語を使うことが、習慣として身についているのです。 また、「赤ちゃん笑ろたはる」という言葉は、もちろん敬語には違いありませんが、だからといって「笑っていらっしゃる」という、そんなよそよそしい敬語とは少し違うように思います。 赤ちゃんもそのお家の家族の一員だということをちゃんと認め、赤ちゃんの人格を尊重した上で、親しみの気持ちを込めて言う言葉なのです。

人と人のつながりを何よりも大事にする京都だからこそ生まれた言葉だと思います。 京都では、赤ちゃんに対しても、目上の方に対しても同じ表現をするのです。 “慇懃無礼”という言葉も確かに存在しますが、人様に対して乱暴な言葉使いや無礼は言葉を使うよりは、丁寧すぎる方が良いと京都人は考えているのです。

石屋のないしょ話でした・・・。