石屋のないしょ話 vol.164

今月は、墓石に水をかける理由についてお話しします。

お墓を参ったときには、墓の周囲を掃除し、花や線香、だんごなどをお供えし、墓石に水をかけます。 多くの人は、花立てに水を入れ、花をお供えした後で、墓石に水をかけます。 だからといって、花用の水が余ったから墓石にかけるわけではないし、墓石を綺麗に洗うのが目的でもありません。 

お盆のお墓参りでは「暑い日が続くから、おじいさんも暑かったでしょうね」と墓石に水をかける人もいらっしゃいますが、水をかけるのは太陽で焼けた墓石を冷やすことが目的でもありません。 墓石に水をかけるのは、あくまで仏教上の理由です。

仏教の教えによれば、死者は生前の行いによって裁判を受け、あの世で行く世界を決められます。 あの世には六つの世界があり、それぞれ天上界・人間界・修羅界・畜生界・餓鬼界・地獄界と呼ばれています。 そのうちの天上界が「極楽浄土」と呼ばれる天国です。 「成仏する」「仏になる」とは、この天上界へ行くことを意味しています。 しかし、成仏できなければ、他の五つの世界に落ちることになります。 なかでも「餓鬼界」には水がなく、この世界に落ちると永遠に飢えと渇きに苦しめられるとされています。 
ご先祖様の中にも、もしかしたら餓鬼界に落ちている人がいるかもしれません。 もしいるなら、そのご先祖様の苦しみを癒したい。 そんな気持ちから墓石に水をかけるという習慣が生まれたのです。


石屋のないしょ話でした・・・。