石屋のないしょ話 vol.21

人様にものを贈る時または頂いた時に目にする「熨斗のし」ですが、皆さんはこの「熨斗」が何のためについているかご存知ですか? 今月は熨斗についてお話します。
本来「熨斗」は鮑貝の肉を長く延ばしたもので、「長く延ばす」ということから延命に通ずると言われ、古来より長生不死の妙薬として珍重されてきました。 大切な進物品やおめでたい儀式には必ずこの熨斗あわびが添えられていますが、「のし」を添えるというのはその品は真新しくて新鮮なものですという表現でもあります。 
私たちが日常で目にするのは、扇形をした紙折の中に小さな干しあわびを模したものを差し入れたもので、時代と共にその形は美しく整えられ変化してきましたが、先様の健康と長寿を祈るために用いられていることには昔から変わりはありません。 ところが数年前からお見舞いを贈る時にはこの「のし」をつけると病気が長引くので「のし」をつけないで贈るという風潮があります。 しかし「のし」は長生不死の薬であり、延びるのは病気ではなく命なのです。 
本来、先様に元気を出してもらうための薬であった「のし」が、いつの間にかその本質を見失い、間違った理由をつけられ、今では「のし」なしの金封が販売されるようにさえなりました。
作法上では、いかなるお見舞いであっても「のし」をつけるのが正式であり、先様に対する最高の気配りなのです。 進物の金品に「のし」を添えないのは、仏事作法の関する場合だけです。 それは「のし」が「なまぐさいもの」であるからです。
石屋のないしょ話でした・・・。