石屋のないしょ話 vol.22

最近は和のテイストを取り入れたファッションなどが流行っています。 ある有名ブランドのロゴも、日本の家紋が元になっているのだとか・・・。 今月は「家紋」についてお話します。
本来「家紋」というものは、平安時代の公家の牛車や輿が他の人のものと区別できるように目印として文様をつけたものが、その始まりと言われています。 それがやがて武士の世界にも広がり、旗や幕をはじめ、裃かみしもや羽織などの衣服・調度品にも家紋が描かれるようになったのです。 一般庶民が広蓋や袱紗などに紋をつけるようになったのは、明治になってからのことです。 
商人の町であった京都で、商う店を代々受け継いでいくことは、自分たちの生活を守るだけでなく人々の生活をも支え、ひいては京の都を形成し守っていくことでもあったのです。 親から家紋をもらうことで、店(家)を継ぐ責任感が同時に芽生えるのです。 むかし京都では、提灯と紋付の服・雑煮椀などで紋を伝えてきました。 今では広蓋・袱紗・風呂敷が代表的なものですが、京都は紋を伝承する方法を持っています。 普段は家紋の入った品を目にふれないところにしまっておき、何か事がある時に取り出し大事に扱うことで、単なる装飾品ではなく、大切なものとして伝承できるのです。 
紋には男紋と女紋があり、男紋は家庭紋とも言われ、代々その家に伝わってきたもので、女紋は女性個人のもので、母親の紋を継承したり、お嫁入りの時に新たに定めることもあります。 このお嫁入りの時に作られる紋付(喪服)は、地方によって嫁ぎ先の女紋や男紋を入れたりしますが、京都では必ず花嫁の実家で定めた女紋をつけて嫁いでいきますので、実家に事があれば、その衣服の紋を見ることで「この人はこの家から嫁がれた」ということが一目でわかります。
京都で生まれた家紋は、千二百年の歴史を経て今なお家族や親族の絆を守り、人々との交流を深め、都を支える大事なものとして、生活の中にしっかりと根をおろし生き続けているのです。
石屋のないしょ話でした・・・。