石屋のないしょ話 vol.34

皆さんは「おため」「おうつり」という言葉をご存知ですか? 結婚・出産・新築などのお祝いのときに頂いたお祝い金の一割を返礼としてお返しすることをさす言葉なのですが、今月は「おため」「おうつり」についてお話します。
こういった作法は京都だけに限ったものではなく、全国各地にもみられます。 ただし、大阪や滋賀など一部の地域を除いて他府県ではお金を返すという風習はないようです。 例えばご近所からお菓子などを頂いた時、その器に半紙を入れて返されるといったことは、どこの地方でもあると思いますが、その時の半紙(和紙)のことを「おため紙」と言い、「溜め紙」「御為」とも書き表します。 また、この紙のことを「移利紙」とも言い、婚礼時のものに限っては「夫婦紙」「和合紙」「抱き合わせ紙」とも言われています。 今日では、その言葉の混乱を無くすため、一般的に紙のことを「ため紙」、一割を封入するお金を包む紙のことを「うつりの金封」と呼んでいます。   
京都では、結婚・出産・新築などのお祝いを頂戴すれば、一帖(二十枚)の半紙と共にお祝い金の一割を金封に封入し、その場でご持参された先様の広蓋や進物盆に入れてお渡しします。 おため紙をお渡しするということは、「当方に祝い事があれば、その折には今お渡しした紙に包んでお祝いしてください」ということを表現しており、「お宅様と当方とは、これから先も縁が切れないよう、お付き合いを続けていきましょう」という思いを半紙一帖に託しているのです。 一割を封入した「うつり」の金封も同じで、「当方の慶び事の縁が、お宅様にもうつりますように」といった意味が込められているのです。  
また、祝い金の一割を封入することは、返礼として頂いた「おうつり」の金封の中に千円札が入っていれば、間違いなく先様に一万円のお祝いができたという確認ができるからでもあるのです。 「おため」「おうつり」は、先様の心を気持ちよく頂戴するために考えられたものであり、人と人とのつながりの大事さ、大切さを伝えていくためのものでもあるのです。
石屋のないしょ話でした・・・。