石屋のないしょ話 vol.36

最近は町家がブームになっており、町家を改造した飲食店や、町家をウィークリーマンションやホテルとして貸したりしているところもあるそうです。 今月は一般的な町家のつくりである「うなぎの寝床」についてお話します。
京都の住まいは「うなぎの寝床」と言われているように、間口がせまく奥行きが深くつくられています。 もともと京都は商人の町でしたので、玄関横の格子をはずせばすぐに商売ができるように考案されていました。 それにより、のれん一枚を吊るすことで店と生活の場を区切ることも可能だったのです。 普段このような住居に住んで生活している京都の人には気がつかないことかもしれませんが、このつくりは様々な儀式(結納・結婚・葬儀・年忌など)を行う上で、大変利にかなったものになっているのです。 
例えば、結納の日を想定してみると、結納揃えを飾りつける場所・仲人・両親の座る位置・目録を受け取り受書揃えを準備する部屋など、全ての作法が潤滑に運ぶよう考えられているのです。 また、親族が大勢集まる年忌など大広間が必要なときには、襖を取り除き、お仏壇を中心にお坊様を囲んで皆が集まり手を合わせられるよう配慮されているのです。 
京都の住居は風通しや採光・トイレの位置が悪いなど、色々な欠点があるように思われていますが、住む者にとってはそのような欠点に気付かないほど住みごこちが良いのです。 その家にとって大事な日(儀式の日)を最優先した家づくり、その先人の知恵の結晶がこの京都の住居を誕生させたのだと思われます。 京都の町家は動線が悪いからこそ他人から家を守ることもできますし、またその反面、他人との交流がしやすいつくりでもあるのです。
石屋のないしょ話でした・・・。