石屋のないしょ話 vol.52

皆さんの中には、先月の8日に伏見稲荷大社で行われた火焚祭をご覧になった方もいらっしゃると思います。 今月は、お火焚についてお話します。 お火焚の行事は、京都だけでなく一部の地域にもみられるものですが、その発祥はやはり京都であると思われます。 お火焚の由来には色々な説がありますが、もともと宮中の重要行事である新嘗祭(収穫祭)が民間に広まったものであるといわれています。 稲穂を育てていただいた太陽と大地に感謝し、また来る年の豊作を祈って行う祈祷行事です。 
かつては11月になると神社だけでなく、連日、一般家庭や町内・会社でもこの行事を見ることができ、京都の初冬の風物詩でもあったのです。 火を扱いますので一時禁止されたり、自主的に取りやめたりしてその数は少なくなりましたが、今でも広い敷地をお持ちの方は毎年きちんと行われています。 秋にとれた新米を神前にお供えし、願い事を書いた護摩木(火焚串)を焚いて悪霊を追い祓い、家内安全・無病息災・商売繁盛・火難除けを神に祈るのです。 お火焚の終わりに、護摩木を焚いたその残り火でみかんを焼きます。 そのみかんを食べると、来る冬の間、風邪をひかないといわれています。 それに、その年のお米でつくったおこしと、おたまと呼ばれている火焔紋の焼き印が押してある紅白饅頭を神からのおさがりとして頂き食します。 神と共に同じ食物を頂くことで、神の力を授かるのです。 
古来より、火の神は太陽の神とも考えられ、世にある不浄なものを消滅させる力があると信じられてきたのです。 こんなところから、京都では神仏のお札はもちろんのこと、お守りや縁起物、それに心のこもった礼状など、ごみとして出すには少し気がひけるものの処分は、火にあげるといって燃やしてしまうといったことが日常的にどのお家でもなされているのです。 京都といえばお寺のイメージが強く、仏教行事ばかりがクローズアップされますが、このお火焚の行事だけでなく、一年をとおして一般の家庭にも神事がきちんと行き続けているのです。 
石屋のないしょ話でした・・・。