石屋のないしょ話 vol.59

以前vol.45で風呂敷についてお話しましたが、今月は和紙と風呂敷の包み方についてお話します。 白い和紙で包むことはその品物自体を清める意味があり、風呂敷で包むことは大切な品物ですということを表現しているのです。 そして、和紙にも風呂敷にも、その包み方にはお作法があります。 
重ね合わせた時に、向かって右が必ず上にくるように包むのです。 人に着物を着せていると考えれば、たやすくお解かりいただけると思います。 その左右を逆にして着物を着せる時はどういった時か・・・この後は、もうご説明する必要はないでしょう。 ですから、これを一つ間違えますと、お祝いの品でもご不幸ごとの品になってしまうのです。 お店でお買い物をし、包装紙をセロハンテープで止めていただく時にも、必ず向かって右が上にこなければいけません。 この“右上”という考え方は、和紙や風呂敷だけではなく、目録・金封・敷紙・片木へぎ・三方・戸棚・襖・障子もみんな同じなのです。 一度、お家の中のものをゆっくり見回して見て下さい。  
京都のこの包み込みの発想は、ただの包み方の作法だけではなく、自分を優しく温かく包み込んで下さいということも意味しています。 ですから、風呂敷を進物にするといったことは京都ではよくあることで、花嫁様の挨拶まわりの手土産にも風呂敷が最もよく用いられます。 風呂敷に包んで風呂敷を持参するのです。 もの言わぬものにものを言わせる・・・といったことを好む京都人が、品物を和紙や風呂敷に包むことで贈る心や意味合いを表現してきたのです。 
石屋のないしょ話でした・・・。