石屋のないしょ話 vol.60

京都は、放火は別として火事が大変少ないところであることをご存知でしょうか? 今月は、京都ならどこでも見かける“愛宕さんのお札”についてお話します。 京都の町家は、隣とくっついていることもあり、火事についての意識が高く、火を出してはいけないということに、昔から非常に神経を使ってきました。 念には念を入れて火の始末をするという、京都人の「しつこさ」で、京都の町を火から守ってきたのです。 
それぞれの住人の責任感の強さがそうさせてきたのでしょうが、京都人はこれを「愛宕さん(愛宕神社)のおかげ」というのです。 ここに京都の一種独特の言葉使いがあり、奥床しさがあるのです。 「愛宕さんのお札」 京都の家庭にはもちろん、近代的なビルの中でも、このお札を見かけます。 毎年7月31日から8月1日にかけて、愛宕さんで千日詣というものがあり、この日にお詣りすれば千日分のご利益があるとされています。 この日はご町内単位でお詣りされるところもあり、毎年大変なにぎわいをみせています。 
しかし、だからといって、お詣りした人だけがこのお札を貼っているわけではありません。 例え、愛宕さんがどこにあるかを知らない人でも、京都ではこのお札は知っているものなのです。 愛宕さんには誠に失礼なことですが、普段は気にもとめていませんし、ゆっくりながめることもなければ、お札に手を合わせることもありません。 いわば、このお札は京都人にとって空気と同じような存在なのです。 これほど自然にさりげなく、京都の人々の暮らしの中に溶け込んでいるお札というものも、他にはないように思います。 「火の要慎・火の要慎・・・」
石屋のないしょ話でした・・・。