石屋のないしょ話 vol.84

まだ梅雨明けもしないうちに、もう八月になりました。 今月は、八月七日〜十日に六道珍皇寺で行なわれる「六道まいり」についてお話します。
六道珍皇寺の境内には、小野篁おののたかむら(八○二〜五二)という昼は宮中に仕え、夜は冥界に出入りして閻魔大王のもとに通ったといわれた人物で、冥界の出入り口となった「冥土通いの井戸」があります。 六道とは、衆生(人間)が善意の業によって赴く地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天の六つの迷界のことです。 六道珍皇寺のあたりは、平安時代のころに野辺送りをした鳥野辺の地に近いことから、六道へいく辻にあたるとして「六道の辻」と呼ばれました。 そのため、古くからお盆に戻ってくる先祖(お精霊さん)は、六道珍皇寺を通ると信じられてきたのです。 
「六道まいり」は、そのお精霊さんを迎えるお盆前の行事です。 まず、境内で精霊が乗るという高野槇を求め、薄い板の水塔婆に先祖など故人の名前を書いてもらいます。 そして十万億土の冥土まで響くという「迎鐘むかえがね」を引くように叩いて、先祖をこの世に呼び寄せます。 そのあと水塔婆を線香で清め、石地蔵が並ぶ「賽の河原」に納め、槇で水をかけて水回向します。 この水塔婆は、五山の送り火の翌日(八月十七日)に供養されます。 「六道まいり」は、七日の午前六時から十日の午後十一時まで行なわれますが、お寺のまわりは順番待ちの行列で囲まれ、迎鐘の音がとぎれることはありません。
石屋のないしょ話でした・・・。