石屋のないしょ話 vol.176

皆さんは、なぜ神社で御神酒おみきがふるまわれるかご存知ですか? 今月は「御神酒」についてお話します。

日本では、古くから酒のことを「御神酒」と呼んできました。 酒が神事に欠かせない重要アイテムだったので、こう尊称してきたのです。

さらにさかのぼると、『古事記』には、酒の異名として「クシ」という言葉が登場します。 「くすり」と同様、「奇
し」「怪し」に由来する言葉とみられます。 酒も薬のように、飲むと身体や気持ちが楽になるものと考えられていたのでしょう。

古来、御神酒は神道の祭礼の際、神様にお供えされてきました。 神様にお供えしたあと、人々がその御神酒を飲むのは、神霊の力を自分の身に宿らせることができると考えたからです。 酒を飲んで酩酊し、一種の神がかり的な状態になってお告げを述べる者もいたので、御神酒には神様との交信力を高める力もあると考えられていました。

また、『古事記』には須佐之男命
すさのおのみことが八岐大蛇やまたのおろちに酒を飲ませて酔わせ、退治したという逸話も登場します。 この神話からも、酒には邪悪なものを倒す力があるとみられていたことが読み取れます。

ちなみに、「酒」という言葉は、「栄え」とともに邪悪なものを「避ける」にも由来するとみられています。 だから、神社でいただく御神酒、お正月に飲むお屠蘇、ひな祭りに飲む白酒などには「御霊(神霊)をいただく」という意味に加え、「御神酒によって邪気を避ける」という意味も込められていると考えられます。

石屋のないしょ話でした・・・。