石屋のないしょ話 vol.177

料亭や居酒屋など、客商売の店先に塩がこんもりと盛られているのを見かけられたことはありませんか? 今月は「盛り塩」についてお話します。

盛り塩は、もともと縁起を祝うために置かれるようになったものですが、そもそものいわれとして、こんなエピソードがあります。

その昔、中国の皇帝は多くの愛妾を持っていて、その女性たちはそれぞれ違う家に住んでいました。 江戸時代の大奥とは違い、宮廷の外に多くの女性を囲っていたのです。

皇帝は牛車に乗って女性のもとへ訪れるのが慣わしでしたが、どの女性のところへ行くかは皇帝の気分しだいです。 そのため、女性たちはなんとかして皇帝に立ち寄ってもらいたいと考え、さまざまな工夫を凝らしました。 化粧を念入りにしたり、美容に精を出すのはもちろん、教養を積んで楽しい話題で皇帝の心を掴もうとする女性もいたことでしょう。 その中で、ある女性が意外なアイデアを思いついたのです。

牛の大好きな塩を入口に盛って置いておけば、牛は塩に釣られてやってきて、そこで停まるはず。 その頃合いを見計らって出て行けば、皇帝は自分の家に立ち寄るに違いないという作戦に出たのです。 その目論見は見事に成功し、牛車はいつも同じ愛妾の家の前で停まり、皇帝はその女性と一夜を過ごすことになったという。

このエピソードが後世に伝わり、飲食業の人たちが客を呼ぶために店先に塩を盛る習慣がうまれたのです。


石屋のないしょ話でした・・・。