石屋のないしょ話 vol.181

9月9日は「重陽の節句」です。 今月は、なぜ9月9日が縁起のいい日なのかをお話します。 毎年、秋が深まってくると各地で菊の品評会や菊人形展が開催されます。 もともとこれらの行事は旧暦9月9日に行なわれていた「重陽の節句」に関係するものです。 天武天皇jの時代から、この日に宮廷で節会が催され、酒に菊の花を浸した菊花酒を飲んだりする「菊花の宴」が行なわれていました。 そもそも、奇数はおめでたい数字とされるなか、一桁の奇数のうち最大の数字である9が重なる9月9日は「重陽」といってとりわけ縁起がいい日とされました。 そこで、この日に丘などに登り、菊花酒を飲み、厄をはらうというしきたりがうまれたのです。 

「それにしても、なぜ菊の花?」と思われる人もいるでしょうが、中国では古来、菊は不老長寿の霊草と信じられていました。 菊は、品があって美しいばかりでなく、薬効もあります。 中国には聞く酒を飲んで800歳まで生き長らえたひとの話など、菊にまつわるさまざまな説話が残っています。 その薬草である菊が、風習とともに日本に伝わり、やがて改良されて観賞用の菊が生まれ、貴族たちに愛でられるようになったのです。

江戸時代に入ると、それまで伝えられてきた行事が公式に「五節句」と定められ、重陽の節句には、幕府が諸大名を登城させて祝うほど、大々的な行事が行なわれるようになりました。 民間でも、この日には菊の花びらを浮かべて酒を飲み、栗ご飯を炊いてお祝いしました。 ところが明治以降、「重陽の節句」は急速に廃れていきます。 新暦に移行して9月9日が菊の咲く時期ではなくなったことも、廃れた一因なのでしょう。

石屋のないしょ話でした・・・。