石のおはなし vol.5

庭石について

おもに日本庭園で鑑賞のために用いられる庭石は、自然石の中から形態の良いものを選んでそのまま用いるので、加工した石材を庭石とはいいません。自然石は産出場所の違いによって風化や磨滅の程度が異なります。一般的に山地から出た「山石」は角張っていて形に厳しさがあり、河川から採取された「川石」は丸みを帯びて優しさがあり、海浜の「海石」は波があるため微妙な凹凸があるとされています。これら自然の形に加えて、傷や破損した部分がなく、表面の色彩が古びて「さび」を生じ、深い味わいのあるものが良い庭石とされています。
岩石が風化作用を受けた時に表面がざらざらになった状態を「野面」といいます。表面鉱物が風化分解して酸化鉄などの被膜を生じた「さび」は、庭石に用いる前の風化による「山さび」だけでなく、庭石に用いてからも風化を受けてまわりの植木などと調和した「庭さび」を生じ、様々な苔もついて、野面とともに年月が経つにつれて古色と風格がそなわってきます。したがって庭石の良否は石材とは異なり、岩質や美しさよりは外観や渋味が好まれることになります。
また、層理や節理など、石材としては均質な大塊を得にくい性質が、庭石には「気勢」といわれる石の方向性を与えるものとして歓迎されます。「石は気勢あるいは勢い」といわれ、層理・節理・片状構造などをもつことが庭石の大切な条件とされています。これらが見られない石は庭の重要点に据える庭石にはなりません。
岩石を庭石に利用するとき、庭を構成する上で重要な場所に用いる小数の庭石を一般に「景石」といいます。ときには眺めるために一つだけ置いた形の良い石を「景石」あるいは「捨石」といい、二つ以上の石を組み合わせて置いた場合は「組石」といいます。また、「飛石」といって歩くためと庭の空間構成とに役立てる石もあり、「短冊石」「沢渡」などと呼ばれる石もあります。
さらに燈籠や手水鉢などの加工された石も、庭の重要な構成要素の石として鑑賞されます。