石屋のないしょ話 vol.26

京都のお店は「一見いちげんさんおことわり」が多いというイメージを持っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか? 今月は「一見いちげんさんおことわり」についてお話します。 
「一見いちげんさんおことわり」とは初めてのお客様だけでのご来店はお断りしますという意味で、主に祇園のオ茶屋さんなどで行われているシステムです。 表面的にはお客様を差別しているようにとらえられるかもしれませんが、本当はお客様により満足して頂きたいという京都商法の原点ともいうべきものなのです。 京都はお馴染みさん・ご贔屓さんといわれる顧客をとても大事にするところで、大切な時間をさいて来て頂いたお客様に楽しいひと時を過ごして頂けるよう最大限の努力をするのです。 そのために一見いちげんさんをお断りしているともいえます。
商売の常道からいえば、不特定多数の人々にご来店頂き、売り上げを上げることが最も大切だと考えられがちですが、そこには本当の意味でのサービスが存在しないと京都の商売人は思っているのです。 京都でいうところの本当のサービスとは価格競争でもなく、うわべだけの美しい言葉や笑顔でもありません。 お客様の好みなどをしっかり把握し、その人に合わせた応対・おもてなしをさせて頂くのが最高のサービスなのです。 つまり、お客様のお好みのお部屋を用意し、掛け軸や花を選び、そのお客様が本当にご満足して頂けるように心くばりをするのです。 一見のお客様を粗末にするということではなく、一見さんにはおもてなしをするデータがないのです。 
京都の商売は一過性のものを好みません。例え細々であっても長く続けていくことが一番大切なのです。 お客様とのお付き合いを長く続けていくことに神経を使い、そのお客様のご要望にお応えしていきたいと願っているのです。 サービスがマニュアル化されすぎた近頃ではこういったサービスの心と知恵を的確に把握することが大切なのではないでしょうか?
石屋のないしょ話でした・・・。