石屋のないしょ話 vol.70

日中は汗ばむような陽気の日も多くなり、すっかりコートやセーターは要らなくなりました。 今月は「衣替え」についてお話します。
季節に応じて服を変える衣替えは、もともとは平安時代に物忌みの日に行なう祓えの行事として宮中で始まった「更衣」に由来します。 この時代には、旧暦で四月一日と十月一日にそれぞれ夏装束と冬装束に替えていました。  「更衣」という言葉はその後、天皇の衣替えを司る女官や、天皇の寝所に侍した女御に次ぐ者の名としても使われるようになりました。 このため民間では「更衣」ではなく「衣替」として広まったといわれています。
江戸時代には衣替えの回数は年二回から四回に増やされました。 四月一日からは「袷あわせ」という裏地つきの着物・五月五日からは「帷子かたびら」という裏地なしの着物・九月一日からは再び「袷」・九月九日からは表布と裏布の間に綿を入れた「綿入れ」に衣を替えたわけです。 旧暦四月一日の衣替えを「綿抜き」と呼びますが、これは綿入れから綿を抜く日だったためです。 ここから「四月朔日」と書いて「わたぬき」と読ませたと言われています。 明治に入ってからは夏服に替えるのは六月一日・冬服に替えるのは十月一日からとなりました。 現在でも、学生の制服などはこの日に衣替えが行なわれるほか、和装の場合、七〜八月は絽・紗・麻・などの「うすもの」を、六〜九月は裏地のついていない「単衣ひとえ」を、十〜五月は裏のついた「袷」を着用します。
石屋のないしょ話でした・・・。